女性に多い泌尿器の病気は、尿失禁と膀胱炎が挙げられます。
尿失禁といえば、TVCMでもよく、大人用のおむつの広告が宣伝されています。年を重ねるにつけ、尿失禁という現象が起こりうることは社会的にもずいぶん認知されるようになり、機能的なおむつなども気軽にドラッグストアで入手できるようになりました。尿失禁は特に中高年の女性に多く見られます。
女性は、男性に比べて尿道が短いこと、また分娩によって骨盤床筋が弱くなることなどから、尿失禁が見られる率が高くなります。
恥ずかしさから、医療機関へ受診せず、市販のおむつを使うなど、ご自分で対応される方も多いようです。しかしながら、尿失禁は、運動療法や服薬治療などで治すことが可能です。
ぜひ泌尿器科にご相談ください。
尿失禁にはいくつかの種類があります。ここでは、代表的な腹圧性尿失禁と、切迫性尿失禁をご紹介します。
骨盤内の臓器を支える骨盤床筋が弱くなることが原因で、おなかに力を入れると漏れてしまう尿失禁です
力を入れたときに漏らしてしまう、くしゃみや咳をしたときに漏らしてしまう
急いで走ったり、飛び跳ねた拍子に漏れてしまうといった症状です。
◆腹圧性尿失禁には、骨盤底筋体操が効果的です
① 肛門周辺の筋肉を締める
② そのまま、膣のほうまで締めてみましょう
③ 5から10秒締めてから、緩めます
これを、1日に何回も繰り返してみましょう。周囲からは、まったくわからない体操なので、お料理をしているときや、電車に乗っているとき、テレビを見ているときなど、ながら体操で構いませんので、1日30回以上を目標に頑張ってみましょう。
膀胱が尿をためる力が弱くなることが原因で漏れてしまう尿失禁です。脳梗塞などによって起こる場合もありますが、女性の場合に最も多いのは、無菌性の慢性膀胱炎に合併した不安定膀胱、更年期障害による女性ホルモンの低下で膀胱や尿道の血流が低下して起こる場合です。
急に尿意を催してしまって、我慢ができない。強い尿意に我慢できない
何度も尿意を催してしまう、夜寝ているときに漏らしてしまう、
お手洗いにたどり着く前に漏らしてしまう といった症状です。
◆切迫性尿失禁には、投薬による治療を行ないます。
膀胱炎は、若い方にも多く見受けられる疾患です。
女性は、尿道が短く、外陰部の細菌が膀胱内に進入しやすい体の仕組みになっています。しかしながら、通常は尿道からの粘液分泌や尿そのものによる洗浄効果が働いています。疲れなどにより体力や免疫力が低下している場合には、持ち前の尿による洗浄効果が十分に発揮されなくなり、膀胱内に進入した細菌が洗浄されずに繁殖してしまい、膀胱炎が引き起こされてしまいます。
排尿時に痛みがある、頻繁に尿意を催して、何回もトイレに行く割にはあまり量が出ない
すっきりと排尿できない といった症状です
◆膀胱炎には、抗生物質などの投薬治療を行います。